梅宮アンナさんが語る、がん治療とアピアランスケア ～ 髪の毛は“私”を形づくる、大切な要素 ～ 2. 脱毛体験と髪の再生

浜中
素敵なショートカットスタイルですね！

梅宮
はい、今日は地毛で来ました。すごい勢いで髪の毛が生えてきていて、一度ハイトーンにしたんです。抗がん剤治療が終了したのが3月なので、通常はもう少し先に髪が生えてくるらしいのですが、私の場合は早かったですね。まつ毛や眉毛も本来はもう少し濃いのですが、それでもグングン生えてきているなと感じています。

― 梅宮さんは抗がん剤治療前、髪の毛を剃ったりしましたか？

梅宮
仕事上、ビジュアルイメージも大切なので、ショートカットにする程度でした。抜け毛を見たくないと剃る方もいらっしゃいますが、私はあえてそうせずに「抜ける瞬間を見よう」と思ったんです。生涯こんな経験をすることはあまりないでしょうから。結果的に、ショックでしたが見ておいて良かったです。
だいたいこれくらいの時に抜け始めるだろうなとわかってはいたのですが、まさに2週間後、シャンプーした瞬間に痛みもなくごっそり抜け、まるでスチールウールの塊のようになって……。絡まり合ってコンディショナーをつけてもほぐれないし、ビックリしました。部分、部分で抜けていくので一時的に変な髪型になりましたが、「これも経験だな」と。現実を直視し、抜けてどうだったか、それを見てどう感じたかを語っていかなければと強く思いました。目を背けてはいけないんです。
とは言え、もちろん精神的には辛かったですよ。もともとヘアスタイルにはすごくこだわっていて、「梅宮アンナ」を形づくるものとしてすごく大事にしてきましたから。だから治療前に全部剃ることもなかったんです。

― 髪の毛の変化で、テレビ出演などに影響されることもあったのでは？

梅宮
はい。生放送があった日に髪が抜け始めて、ニット帽をかぶっていたのですが、話している間に帽子が落ちてしまったんです。そのことにモニターを見て初めて気付いて……。共演者に「突っ込んで！」と願ったものの、さすがにできなかったようです。他の共演者もみんな静まり返ってしまって。普通に接してほしかったんですけれどね。
私はあまり食欲が落ちませんでしたが、抗がん剤の副作用は個人差が大きいですよね。栄養状態が髪の毛に影響することもありますか？

浜中
食事がしっかりととれていないと、どうしても髪の毛のリカバーは鈍くなりがちですね。がんのタイプによって抗がん剤が異なりますし、影響も人それぞれ。何が大変なのかも全く違います。ただ、乳がんの抗がん剤は比較的、副作用として脱毛症状がでやすいことが多いです。

梅宮
私の場合、治療開始直後はまつ毛はあまり抜けず、鼻毛がなくなって鼻水が止まらなくなりました。でも後半にパクリタキセルを投与し始めたら、いきなりまつ毛がなくなって目にゴミが入りやすくなったり、赤くなったりとトラブルが増加。体毛がなぜ生えているのか、よくわかりました。抗がん剤が終わると、一時的に肌がとてもきれいになると言われますが、本当にツルツルになりましたね。きっと産毛も抜けたからだと思います。足の爪も半分とれたりしましたが、今はちゃんと生えてきて、「再生してるな」と感じています。

― 見た目だけでなく、頭皮トラブルに悩まれる方も多いです。梅宮さんはいかがでしたか？

梅宮
髪が抜けるときと生えてくるとき、それぞれでムズムズ、チクチクする感じがありました。今はだいぶ痛くなくなりましたが、髪をギュッと縛ったときに表面がピリピリしたり突っ張ったりするような感覚です。生えてくるときも中がムズムズして、「生えてくる！」とわかります。でも1cmくらい伸びたら、感じなくなりました。
抗がん剤治療後は髪質が変わるとも言われますよね。私も今生えてきた毛はクリクリしていて、できれば昔の髪質に戻りたいという気持ちはあるのですが……半年から1年したら変わってくるのでしょうか？

浜中
更年期は髪質が一番変わる時期ですが、それは女性ホルモンが減るから。乳がんの術後療法では女性ホルモンを抑えるので、同じように髪が細くなったり、うねりや乾燥が強くなるなど髪質が変わりやすいんです。白髪が増えて悩む方もいらっしゃいますし、毛髪の量だけでなく、密度や髪質、すべてが変わるため、患者さまでも「若い頃のように戻したい」という方は多いです。
でも「年をとるにつれて、髪がうねるようになった」という方が増えるように、加齢で血流や毛穴の形状が変われば髪質も変わります。それを若い頃のように戻すことは難しいので、今の髪質に似合うヘアスタイルやアレンジで対応していくことをおすすめします。

― 梅宮さんは、今後どんなヘアスタイルにしたいですか？

梅宮
いずれはまたロングヘアに戻したいですね。治療前に髪の毛の長さを測ったら、鎖骨から14cmあったのですが、そこまで伸ばすには24ヶ月くらいかかります。だからまずはショートボブくらいまで戻したいと思っていますが……。でも今はなにより、再発しないことが一番の願いです。
転移して抗がん剤治療となったら、また髪の毛がなくなってしまいますし、昔の生活をそのまま続けていたら再発するような気がして。以前は甘いものや油脂をたくさんとっていて、なんならコーヒーにコーヒーフレッシュを一気に7つも入れていましたから。友人が「それは生クリームじゃなくて、油だよ」と教えてくれて、初めて乳製品ではないと知ったくらいです（笑）。そういった食生活を変えていこうとは思っています。

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梅宮アンナ（うめみや・あんな）
1972年8月20日生まれ、東京都出身。1990年代以降、ファッション誌『JJ』のモデルとして活躍し、テレビを中心にタレントとしても注目を集める。俳優・梅宮辰夫とアメリカ出身の元モデル・クラウディアの娘として知られ、その個性あふれる発言や包み隠さないスタイルで話題に。
また、一児の母として娘・ももか（現23歳）を育てながら、自身の生き方を等身大で発信し続けてきた。
2024年には浸潤性小葉がんのり患を公表し、病と向き合う姿勢や想いを積極的に発信。
2025年にはアートディレクターの世継恭則氏と結婚し、人生の新たな章を歩み始めている。

当院では、がん治療に伴う髪や眉毛、まつ毛などの脱毛を改善または目立ちにくくする方法として、発毛治療とメディカルアートメイクを行なっております。